カルバレイスの都市チェリクへと到着した一行は、オベロン社のカルバレイス方面の責任者であるバルックの元を訪ねることにした。バルックはチェリクの街中にある事務所にいるだろうとリオンは言う。バルックはバルック基金というものを設立し、個人的にもいろいろな活動をしている人物だった。はセインガルドの剣士になる前、一人で旅をしていた頃にも一度出会っていたが、初めて会った時からとても良くしてもらっていた。
「なあ、バルックってどんな人なんだ?」
街中を歩いている時、スタンが問いかけた。リオンが眉を寄せる。
「お前は何を聞いていたんだ?」
先程バルックについては説明したばかりだ。
「オベロン社のカルバレイス方面責任者ってのは聞いたけどさ」
「他に何を聞く気だ?」
「バルック基金って何なのかなあ、って」
「聞いてどうする」
「いや、別にどうもしないけどさ。聞いたっていいじゃないか」
「無駄な説明をしている程暇じゃないんだ」
スタンの学習意欲を、リオンは無駄だと言い張り先に歩いて行った。言われたスタンはむっとする。ルーティがため息をついてスタンの隣へと並んだ。
「仕方ないわね……いい? バルック基金ってのは、バルックが設立した財団法人で、慈善事業や福祉活動を目的とした資金運用を行っていて……」
人差し指を立てて、ルーティが得意げに説明する。ふむふむとスタンが頷きながら説明を聞く。
「ってな感じだけど、わかった?」
「ざ、ざいだんほうじん、って何だよ?」
「え、知らないの? ……個人や団体などから供出された資金で設立された公益法人で、法的に独立の権利を持ってる団体で……」
今度は財団法人について説明を始める。前を歩いていたリオンはスタンの無知ぶりに思わず足を止めた。リオンの隣を歩いていたも振り返ってスタンを見ている。
「……や、やっぱりよくわかんないや」
説明を終えたルーティに、申し訳なさそうにスタンが謝った。が思いっきり噴き出し、リオンが盛大なため息をついた。
「だから無駄だと言ったんだ。行くぞ」
「あはははは! スタン最高ーっ!」
「お前は理解できたのか?」
「バルックさんがいい事やってるってのがわかってるから問題無し!」
ぐっとは得意げに親指を立てる。
「ようするに理解できなかったんだな」
「むっ。したよ! 少しは!」
「じゃあ、バルック基金を説明してみろ」
「えっと……困ってる人のためにお金の援助をしたりとか、いろんな活動してるんだよね?」
『じゃあ、財団法人はわかる?』
「え。財団法人? ……ルーティみたく、金儲けで動いてるんじゃない団体のこと?」
『まあ、正解にしとくか』
リオンとシャルティエから突然された質問に、戸惑いながらも簡略化した返答をする。とりあえずハズレとはいかない答えではあるが、とリオンは呆れてため息をつく。
「ちょっと! 誰みたいにですって!?」
「うわっ! 聞こえてた!?」
その後、すぐには怒ったルーティに追いかけられた。そして、事務所とは逆方向へと逃げていき――
「バルックさーん!」
事務所の奥、バルックの仕事部屋に入るなりが叫ぶ。頭にはピコハンが乗っていた。リオンの晶術である。その様子に驚いた顔をするが、すぐにバルックは微笑んだ。
「じゃないか。久しいな」
「お久しぶりでっす! 元気ですかー!?」
「ははは。元気だよ。は相変わらず元気いっぱいだな」
「それしかとりえが無いからな」
「リオンうるさい!」
一番乗りだったに続き、リオンが入って来る。むっとするだが、リオンはさも当然と言った表情だ。
「はっはっは! まあ、そう言ってやるなリオン。それがのいいところじゃないか」
「バルックさん……! あなたはなんていい人なんだ……! どっかの誰かと違ってー」
は両手を合わせて目を潤ませながらバルックを見上げ、そして背後の嫌味ばかり言う相方にじとりと目を向けた。
「甘やかすと碌なことがないぞ、バルック」
付き合い切れん、とリオンがため息をついた。がバルックの腕に抱きつく。
「なにさー。私とバルックさんの仲を邪魔しないでよー」
「お前の都合に合わせてやるほど暇じゃない」
「半年ぶりだな、二人とも。随分と仲が良くなったようだ」
楽しそうに笑い、バルックが二人に言った。リオンが顔を顰めるが、はバルックに向けて笑顔で親指をぐっと立てて見せた。
「はい! もう心と心が通じ合うほど密接な関係になりました!」
「誰が。誰と」
リオンがを睨んだ。はさっと目を逸らす。
「はははは。二人とも相変わらずか。それにしても、今日は随分と大所帯だな」
部屋に入って来た皆を見回しながら、バルックが言った。
「大人数で推しかけちゃってごめんなさい。迷惑でした?」
が申し訳なさそうに問う。バルックは首を振った。
「いや、構わんよ」
「気にする程の連中じゃない」
「そんな言い方ってあるかよ!」
リオンが気にするなとため息交じりに言い、スタンが憤慨して言い返した。
「ありでしょ。リオンだもんねー」
「フン。世辞を言ってどうなるものでもないだろう」
「ハハハハハ!」
バルックが大口を開けて笑う。
「ね? いつもあんな感じ。可愛くないんです」
がリオンを指差して言った。
「可愛いなどと思われたくもない」
「いや、リオンもにっこりと笑顔になって愛想よくなったらきっと可愛いと思うよ? 私が保証する」
「真顔で言うな。全然嬉しくない」
一歩詰め寄り真顔で言うに、リオンは迷惑そうな顔で一歩下がった。想像したのか、シャルティエとリィドが噴き出した。シャルティエは素早い動作でリオンにコアクリスタルを殴られた。殺気のこもった目で改めて睨みつけられ、は明後日の方向を見ながら口笛を吹く真似をした。音は出ていない。
「いや、失礼した。そちらの方々、相当腕の立つ御仁とお見受けする」
スタン達の方に向き直って、バルックが微笑む。
「私はバルック=ソングラム。オベロン社カルバレイス方面支部長という、身に余る職務を拝命している。まあ、以後よろしく」
「スタン=エルロンです。こちらこそよろしくお願いします」
差し出されたバルックの手をスタンが握る。バルックはスタンと目を合わせて、ほう、と楽しそうな声を漏らした。
「まだ若いのに良い目をしている。粗削りだが、今後が楽しみといったところだな」
「そ、そうですか?」
スタンの表情がへにゃりと緩んだ。リオンが呆れてため息をつく。
「バルック、そのくらいにしてくれ。そいつもと同じだ。煽てたらのぼせ上がるだけだぞ」
「の、のぼせてなんか……!」
「ていうか、私をスタンと一緒にしないでよ!」
「ええ!? 、それって酷くない!?」
否定するスタンに、は別の部分を否定する。リオンに向けていた憤慨の表情を、ショックに変えてを見た。すると、バルックは再び笑い出す。
「君たちもリオンに少なからず認められているようだな」
「えー……?」
真っ先に反応したのはルーティだった。顔を顰めてバルックを見る。フィリアとマリーは不思議そうに顔を見合わせた。とても普段のリオンの態度からは想像できなかった。
「どういうことですか?」
「実力的に対等と認めればこそ、言い方もきつくなるというところだな。なあ、リオン」
バルックがリオンの肩をぽんと叩く。
「冗談も大概にしてくれ」
リオンがげんなりとした様子でバルックを見た。
「君たちだって、格下相手にライバル意識を燃やしたりはしないだろう?」
「ばかばかしい……」
「本人は認めたがらんがな」
バルックが肩を竦めた。
「まあ、リオンの非礼は私が詫びるという事で。それで、よしなにしてやってくれ」
「生憎だがバルック。今日はそんなくだらない話をしに来たわけじゃない」
「ああ、だろうな」
バルックが自分のデスクへと戻り、椅子に腰かけた。それに伴って、デスクの前に立っていたリオン達も体の向きを変える。
「最近何か変わったこととかないですか?」
「変わったこと?」
が聞くと、バルックは首を傾げ、そうだな……と記憶を探るように顎に手を当てた。
「特に変わったことはないが……フィッツガルドのイレーヌから報告があったな」
「イレーヌさんから?」
イレーヌとは、オベロン社フィッツガルド支部の責任者である女性のことだ。とても美しい女性で、ヒューゴの屋敷の執事であるレンブラントの娘である。
どんな報告だ? とリオンが話を促す。
「オベロン社のレンズ輸送船が、謎の武装集団に頻繁に襲われているらしい」
「謎の武装集団?」
「ああ、そうだ。正体は全くつかめていないが、明らかに我が社のレンズが狙われているようだ」
そんな事が起こっていたとは、ダリルシェイドにいた時には聞かなかった話だ。
オベロン社は各国各地でレンズを回収し、それをセインガルドにある本社工場で加工などを行っている。そのレンズを載せた船が、フィッツガルド、セインガルド間で襲われているらしい。世界の大企業であるオベロン社にとっては大きなダメージだろう。
それはそれで問題だが、カルバレイスへ来た目的はそれではなかった。
「神の眼については何か聞いていないか?」
「神の眼だと!?」
リオンが問うと、バルックは驚いて椅子から立ち上がった。呆然とリオンを見た後、ぐったりと椅子に深く座り込み、片手を額に当てた。
「おいおい、よしてくれ。悪い冗談だ」
「悪いが冗談ではない。神の眼がグレバムという大司祭の手に渡った」
「ダリルシェイドの港で聞いたら、こっちにそういう大きな荷物を運んだって言うんですよ。何か知りませんか?」
リオンに続いてまでもが神の眼について問う。後ろのスタン達の表情も硬い。冗談ではない事がわかり、バルックは深く息を吐いた。
「……わかった。俺の方でも調べてみよう。船乗り関係のやつらが何か知っているかもしれないな。お前たちはそっちを当たってくれや」
「頼んだぞ」
リオンが頷いた。
ふとが後ろに目を向けると、背後にいたはずの人間が一人足りない。――マリーがいない。首を傾げ部屋を見渡すと、壁際にある本棚の前でマリーが一人で立っていた。
「マリー? どうしたの?」
「あ、いや……」
の声に、マリーは俯いていた顔をあげた。マリーの手には一冊の本が握られていた。
「料理の本?」
本を覗き込むと、そこにはさまざまな料理の作り方がイラスト付きで載っていた。
「ああ……なにか、懐かしい気がしてな」
「ふーん。あ、でもこれってファンダリアの郷土料理だよ?」
料理の名を見ると「ビーストミートのポワレ」と書かれている。ファンダリア、とマリーは小さく呟き、再び本に視線を落とす。
「マリーってファンダリア出身なの?」
「いや……私には記憶がないんだ」
「え!? そうなの!?」
「言っていなかったか?」
「聞いてないよ……そうだったんだ」
言いながら、も本へと視線を向ける。
「じゃあ、ファンダリアに何かマリーの記憶の鍵になるものがあるのかもね」
「……そうかもしれないな」
笑顔で言うに、マリーは曖昧ながらも笑顔を返した。マリーは本棚に本を戻すと、腰に提げている剣を抜いた。
「これが、記憶の手掛かりだと思うんだ」
「その剣が?」
「ああ」
有り触れた型の剣だった。けれど、マリーはこれこそが記憶の手掛かりであるという。
「きっと、この剣を持っていれば……私は記憶を取り戻せるのではないかと思う」
そう言ってマリーは剣を握りしめた。
「……戻るといいね、記憶」
がマリーを見上げて言った。
「ああ。ありがとう、」
マリーが微笑んだ。
そこまで話したところで、ちょうどリオンが行くぞと声をかけてきた。マリーは剣を鞘に戻すと、と共にリオン達の後をついて外に出た。
一行は最初に船を下された港へとやってきた。水夫たちが忙しそうに行き来している。
「じゃあ、各自分かれて情報収集だ。三十分後にここに集合。ペアは、スタンとルーティ。マリーとフィリア。は危なっかしいから僕とだ」
「一言多いわ!」
最後だけため息交じりに言われ、がすかさず殴りかかったが、拳はリオンの顔の横を横切っただけだった。各々が二人ペアで情報収集のため散って行った。
とリオンは、ひとまず近くにいた水夫に話を聞くことにした。
「そういや、この前大きな像みたいのを運ぶのを手伝ったよ」
だが、意外にもあっさりと最初の情報を掴めてしまった。
「ほんと!? どこに!?」
数分と経たぬうちに情報がゲットできた嬉しさで、が嬉々として問いかける。リオンも驚いた表情をしている。
「さあ? 俺は行先知らないけど、ジェイクって水夫が知ってると思うよ」
「そのジェイクというのはどこにいる?」
「やつなら、たぶん宿屋で寝てると思うけど」
「行くぞ」
「おじさん、ありがとー!」
「おじさん!?」
礼も言わないリオンに代わって、が手を振りながら礼を告げた。若い水夫はのおじさん発言にショックを受けていたが、二人は気にも留めていなかった。先を歩いていたリオンに追いついて、がリオンの隣を歩く。
『案外あっさり見つかったな』
「まあ、早いにこしたことはないっしょ。終わったら出店巡りしよー! ねっ、リオン」
「僕は行かんぞ」
「もう! 付き合い悪いぞ!」
言いながらはウィンクをしつつ、両手の親指と人差し指だけ立てて同時に隣のリオンに突き付けた。気持ち悪い寄るな、とリオンは言い捨てあからさまにから距離を取った。ひどいわひどいわ、と言っては両手で顔を覆って泣き真似をするが、リオンはそれを無視して歩く速度をあげた。泣き真似をしたところでリオンの態度が変わるはずがない事をよく知っているは、すぐやめておとなしくリオンの後をついていった。
チェリクの街中にある宿屋にて、宿の掃除をしていた女性にジェイクの居場所を問いかける。
「え? ジェイク? 武器屋に用があるとかで、とっくに出てったわよ」
仕方ない、と二人は女性に礼を言うと武器屋へ向かった。武器屋は宿屋から更に街中に入ったところにあり、港とはほぼ正反対の方向だった。武器屋の店主は、二人が入って行くとあからさまに嫌そうな顔をした。カルバレイスの人間は他国の者を嫌っている者が多い。
「ジェイクぅ? ……ああ、彼なら港に帰ったよ」
店主は面倒そうに答え、しっしっと手を振って追い出された。リオンが不機嫌そうに眉を寄せ、はリオンが怒りだす前にと、リオンの背を押して店の外に出た。
「人をおちょくっているのか!? あっちへこっちへと……!」
店を出るなりリオンは悪態をついた。
「まあまあ。イラつくのはわかるけど、落ち着きなって。ほら、港行こう」
リオンの背中をそのまま押して、さあさあ、ととリオンは再び港へと向かって元来た道を戻っていく。
港は多くの水夫が行き来していた。思い返せば、ジェイクの外見の特徴などは誰からも教えて貰っていないと気付いた。誰がジェイクなのかわからない。
「こういう時は呼んでみればいいんだよ。おーい! ジェイクっていう水夫さーん! いたら大きな声で返事をしてみよーう!」
「そんなもので出てくるか!」
突然大声を出したの頭をリオンが思いっきり殴って黙らせた。周りの人々は一度は二人に目を向けるが、興味が無いようですぐに目を逸らしていった。殴られた頭をが痛そうに抱えていると、一人の水夫が怪訝そうに近づいてきた。
「……何ですか、あんたたち。さっきから俺を探してるってのはホントですかい?」
「お前がジェイクか」
「そうですよ……って、何か怒ってません?」
「こら、リオン! 初対面の人にそんな仏頂面見せるんじゃありません!」
「最近、セインガルドから運ばれてきた石像を知っているだろう」
無視ですか。というの言葉さえリオンは綺麗に無視した。ジェイクは相変わらず怪訝そうな顔で頷いた。
「ええ、見ましたよ。大きな石像。なんでも神殿に奉納されるって話でね。確かに、街の外の荷車まで運びましたよ」
「神殿というと、カルビオラか」
カルバレイスにあるストレイライズ神殿はカルビオラという街に一つあるだけだ。行先は決まった。
「巡礼の旅かなんかですか?」
「まあ、そんなとこ」
「気を付けて行きなよ。最近はこの辺もあまり治安がいいとは言えないですから」
「はいはーい! ありがとうジェイク!」
が礼を言うと、ジェイクは軽く頭を下げて、仕事へと戻って行った。ジェイクがいなくなり、声が届かないまでになると、リオンがの方を向いた。
「僕はバルックに報告をしてくる。お前はここで四人が来るのを待ってろ」
がぱっと満面の笑みを浮かべる。
「出店見てていい!?」
「好きにしろ」
「ラジャー! じゃあ、いってらっしゃーい! あ・な・た♡」
「やめろ気色悪い」
歩き出したリオンは振り向く勢いのまま、のボディに踵を叩きこんだ。がぐほっと変な声をあげているうちに、リオンはすたすたとチェリクの街中へ出て行った。よほど痛かったらしく、はしばらく蹲って呻いていたが、立ち直るとすぐに近くにあった出店を見て回り始めた。様々な出店が出ていた。装飾品を売っている店、織物を売っている店、魚屋や果物屋などが並んでいる。
「うひょー! パイナップル美味しそう! あ、そっちの果物なんだろう!?」
ニコニコと嬉しそうには目についた果物を手に取っていく。そんな様子に呆れて、リィドがため息をついた。
『あんまり買い込んでも腐るだけだぞ』
「全部食べるから大丈夫!」
『全部って……腹壊しても知らねえからな』
「平気だもーん」
結局気に入った果物を四つ購入し、待ち合わせ場所の近くのベンチに腰掛けて食べ始めた。
「!」
ちょうどその時、の名を呼ぶ声が聞こえた。
「お、ルーティにスタン」
「あ! いいなあ、果物! あたしも買おうっと」
果物を両手に持ったを見て、ルーティもすぐ近くにあった果物屋へと寄って行った。少しでも良いものを買おうと、果物を手に選んでいる姿はさながら主婦だ。はその様子を見ながら果物を一つ食べ終わった。
「リオンは? 一緒じゃなかったのか?」
「ああ、バルックさんのとこ行った」
「ふーん。で、何かわかった?」
「うん。まあね。そっちは?」
「え!? わかったのか!? 俺たち、何もわかんなかったよ……」
「ええ!? 何も!?」
肩を落としながら言うスタンに、が驚く。三十分しかなかったとはいえ、何も情報を入手できていないとは……。
『とリオン、始めて五分と経たずに最初の情報手に入れてたぞ……』
「うそ!?」
リィドが呆れながら言い、それにショックを受けたような声でスタンが聞き返した。自分達がわからなかったのだから、他の皆もわからなかったに違いないとでも思っていたのだろう。
『それで、何がわかったんだ?』
ディムロスが話を促す。
「んー、めんどいからフィリア達も来てから……って、ちょうど来たね」
が次の果物を食べ始めていると、ちょうどよくフィリアとマリーが帰って来た。
「さんにスタンさん。そちらは何かわかりましたか?」
フィリアの言葉にスタンはばつが悪そうに肩を竦めた。
「俺の方は全然」
「こっちは石像を運んでいるところを見た人がいたぞ」
「うん。で、その石像は神像と偽ってカルビオラの神殿に持っていったってさ」
マリーの言葉に付け足すように、が言葉を繋いだ。結局何もわからなかったのはスタン達だけで、マリー達もわずかながら情報を手に入れていた。あっさり情報が手に入るなんてすごいわね、と言ったのは数個の果物を買ってきたルーティ。何も入手できていないお前らがおかしい、とリィドに言われてルーティが怒ったのは言うまでもない。
「あ、リオンだ」
ルーティがぎゃーぎゃーと騒いでいたところにリオンが帰って来た。その騒ぎように一瞬眉をひそめたが、いつもの事だと気にせずやってきた。
「他のやつらに話はしたか?」
「うん。有力情報ゲットしてたのは私達だけだったよ」
「……お前ら、三十分何をしていたんだ」
さらりと言うの言葉に、リオンは呆れ顔で四人を見た。マリー達はちょっと情報あったよね、とが言うとリオンの視線は即座にスタンとルーティに向いた。
「だって、ルーティが話聞く人聞く人にキレてかかるから……」
焦ってスタンが弁解を始める。
「なっ! だって、あんたも見たでしょ!? あいつらの態度! あー腹立つ!」
「だからってキレてかかったら、教えてくれるものも教えてくれないだろ?」
「うるさいわね! どっちみち何も教えてくれやしないわよ!」
「行くぞ。カルビオラだ」
「チェリクの南だっけ?」
「北だ。方向音痴女」
「ちょっ、そこの二人! 無視すんじゃないわよ!」
言い合いを始めたルーティとスタンを無視して、リオンとがさっさと歩き始めていた。その後をルーティが追いかけ、スタンが追いかけ、マリーとフィリアがその後に続いた。
目指すは砂漠の中心に位置する、聖地カルビオラ。