「あー。本当に家族で乗ってますね。ハクロのおっさん」
「まったく……ここの情勢が不安定なのは知ってるだろうに。こんな時にバカンスとは……」

 東方司令部の緊張感漂う司令室内で、二人の男が一枚の紙を見つめながらため息をついた。
 ニューオプティンからこのイーストシティへと向かう列車が、『青の団』という反軍組織によって占拠されたのである。先程送られて来た犯行声明によると、相手は乗っていたハクロという将軍を人質にとっているらしい。
 ハクロはニューオプティン支部の司令官である。ニューオプティンというのも、このアメストリス国の東部に位置する街だ。その街の司令官であるハクロが、この東部の情勢について知らないはずもない。それにも関わらず、バカンスを楽しもうとするとは……。
 東方司令部の責任者、ロイ・マスタング大佐は頭を抱えずにはいられなかった。
 犯行の目的は、刑務所に捕まっている『青の団』の指導者の解放。ありきたりだなと余裕のコメントをしつつ、それでも自分の管轄内なので軽視するわけにもいかない。面倒だというのを露骨に顔に出しながら、先程出来上がった乗客名簿を流し見ていたロイだったが、ふとあるページで紙を捲る手を止めた。
 そこに見知った名を見つけ、ロイはフッと笑みを浮かべる。

「ああ諸君。今日は思ったより早く帰れそうだ。鋼の錬金術師が乗っている」

 司令室内で「おお!」という歓喜の声があちこちから聞こえた。
 すると、ロイの肩越しに名簿を見ていたジャン・ハボック少尉が「おっ」と声をあげた。最初にハクロ将軍の事を『ハクロのおっさん』と言った人物である。

「本当に早く帰れそうっスよ」

 そう言って、名簿のとある名前を指差した。

「ほら。も乗ってるじゃないですか」

 ロイの補佐官であるリザ・ホークアイ中尉が「あら」と一言声を漏らした。
 司令室のどよめきが増し、先程まであった緊張感が嘘のように消え去った。
 の名を見つけたロイは「何とも良いタイミングで乗っているものだな」と半ば感心したように呟き、隣にいたハボックは思わず噴き出した。

「では、我々は列車が着くのをのんびり待っている事にしようか」

 司令官の適当すぎる指示に呑気な返事がそこかしこから聞こえ、司令部では慌てることもなく、事後処理の準備が始められた。




   

1.出会いは突然





 ニューオプティン発特急〇四八四〇便。乗客達の目の前では、銃器を持った男達が睨みを利かせていた。
 乗客達はのんびりとイーストシティへの到着を待っていれば良いはずだったのだが、運悪くトレインジャックに遭遇してしまい、そういうわけにはいかなくなってしまった。乗客たちは全員頭の横に両手を上げて、怯えた様子で男達を見つめていた。
 ただ一人を除いて。

「何だこいつ……? まだ寝てるぜ」
「こんな状況でよく寝ていられるな……」

 そんな乗客達の中で一人だけ、この騒動の中でもぐっすりと眠っている少女が居た。腕を組み、窓際に体を預けて幸せそうに寝息をたてている。
 そんな少女を、『青の団』の一味である男が呆れながら見下ろしていた。隣にいるもう一人の男も、他の乗客に銃を向けながら少女を見ている。
 男が「オイ」と呼んでみるが、少女は一向に起きる気配はない。この状況下でよく寝ていられるものだと思わず感心してしまう。余程神経が図太いのだろうと、男達は思わず呆れて息を吐く。
 十代であろう、まだ若干幼さが残る顔に、背中の中程まである青いストレートの髪。多少ボーイッシュにも見える服装ではあったが、極普通の少女にしか見えない装い。だが、服に似合わない黒い手袋を両手にしていた。
 そして青い髪の間から、左耳の赤いピアスが輝いて見えた。

「オイ! 起きろ!!」

 場にそぐわない幸せそうな寝顔に、男はついに銃を突きつけて怒鳴った。
 すると、それまで反応の無かった少女の眉がピクリと動いた。

「……んだよ」

 少女が薄っすらと目を開けた。眉間には皺が寄っている。起こされた事に怒っているのか、声のトーンは低かった。だが半開きの瞳は、未だ頭が覚醒しきっていないことを示していた。寝ぼけている。

「……え……は? ……なに? 誰?」

 ようやく頭が覚醒してきたらしい少女は、先程の低い声とは一転して、戸惑い気味に声を漏らす。
 起こされたかと思えば、目の前には見知らぬ柄の悪い男に銃口を向けられている。随分と微笑ましくない目覚めである。

「お前、これが見えないのか? 手上げろ!」

 男は怒鳴り、見せ付けるように銃を少女に近づけた。
 至近距離で銃を突きつけられてしまえば、従わないわけにもいかない。少女は嫌そうな顔をしつつも、言われた通り両手を顔の横まで上げた。
 それから視線を周囲へと向けた。
 車輌の中にはもう一人、近くに銃を持った男がいる。そして、立ったまま両手を上げている乗客たち。
 少女は近くの男に視線を戻した。

「ねえ、一体何事? おじさん達、誰?」

 両手を上げたまま少女が尋ねた。先程の戸惑った様子とは一転したその態度に思わず目を瞠る。
 少女は銃を突きつけられているにも関わらず、怯える様子もなく話しかけてくる。やはり神経が図太いのか、はたまたただの怖いもの知らずか。
 今の状況が理解していないが為の言動だろうと男は判断し、フッと得意な顔で説明した。

「俺たちは東部過激派の『青の団』だ。この列車は今俺達が占拠している」
「ああ、なーる。トレインジャック真っ最中って事か」
「そういうことだ。ちなみに、全車両に仲間がいる。機関室もだ。つまり、お前ら乗客が逃げられる可能性は皆無ってわけさ。わかったか?」
「うん。バッチリ」

 説明有難う、と少女は男達に礼を言う。状況を聞いて尚、少女が怯えることはなかった。
 男達は何とも言えない表情でお互い顔を見合わせた。全く、調子が狂う。
 そんな様子には目もくれず、少女は男達に気付かれないようにため息をついた。

(あー、ついてない……なんでよりによって、私が乗ってる時にトレインジャックなんか……)

 恐らく犯行声明は送っているのだろう。となれば、当然この列車が向かう先に居るあの司令官はこの事態を知っているわけで。乗客名簿もあがっているだろうから、自分が乗っている事にも気付いているわけで。「じゃあ、任せておけば大丈夫だな」なんて思いながら、のんびりと事後処理の準備でもしているのだろう。
 と、そこまで考えが至って、今度は苛立たしげに息を吐き出した。
 実は本当にその通りだったりするのだが、今ここに居る少女にそれを知る術はない。

「おい、そこ!! 動くんじゃねぇ!! 死にてえのか!?」

 突如聞こえた男の怒鳴り声に、少女は思考を中断させる。
 声の方を見ると女性が通路で膝をつき、男を怯えた目で見上げていた。女性は子供を庇うようにして座り込んでいる。どうやら、子供が母親の手を離れて飛び出してしまったようだ。

「見せしめに一人くらい殺してやろうか?」
「お、お願いします! この子だけは!!」

 男は嘲笑を浮かべ、女性に銃を向けた。
 引き金に指をかける。
 次の瞬間。

 男の視界に、青色が飛び込んできた。

「「なっ……!?」」

 銃を向け直す間も無かった。
 男が驚いたほんの一瞬の隙をついて、少女はその懐に飛び込んだ。銃を左手で押さえつけ、流れるような動きで握った拳を鳩尾に叩き込む。
 少女のものとは思えないその威力に、殴られた男は鈍い声を漏らして床に崩れ落ちた。
 それは、数秒にも満たない一瞬の出来事。仲間の男を含め、乗客達もその光景を唖然として見ていた。
 視線が集まっているのに気付き、少女はため息を漏らしながら足下の男に視線を落とした。

「関わらないでおこうかと思ったんだけどなぁ……」

 参った、と言わんばかりの表情で頭を掻く。
 関わらずに大人しくしていようと思っていたのに、気が付けば反射的に男の前へと飛び出していた。見て見ぬふりは出来なかったというわけだ。少女は思わず肩を落とす。
 ハッと男が放心状態から我に返った。少女の足下に倒れている仲間を見て、すぐに銃を少女に向ける。

「こ、このガキ!!」

 男が引き金を引くその瞬間、少女は男の手を蹴り上げた。勢いで方向が変わってしまった銃弾は天井へと突き刺さる。それに驚いて目を見開く男の視界に、既に少女の姿は無い。頭蓋へと振動を感じたのを最後に、男の意識はブラックアウトした。
 先に倒れていた男に折り重なるように臥した男の背後に、右手を手刀の形にした少女が立っていた。
 乗客は目の前で起きたその光景に唖然としている者が大半だったが、すぐに団員が倒された事に歓声をあげた。
 少女はその光景を見て、引きつった笑みを浮かべる。手を出してしまったからには、中途半端に放っておくわけにはいかないし、今更他人事のように振舞うわけにもいかない。
 まったく、面倒な事になってしまった。自分も他の乗客たち同様、駅に着くまでのんびり寝ているだけだと思っていたのに……。
 少女は、既に何度目かわからないため息をつくと、面倒そうにしながらも手際よく作業を始めた。
 男達のベルトを引き抜き、そのまま手を後ろに回してしっかりと両手首を縛り上げる。そして、一人の男の頬をペチペチと叩いた。「はい起きてー」と言う少女の声はとてもやる気が無さそうだ。
 呻き声を漏らしながら目を開く男に、少女はにっこりと笑みを向けた。

「質問に答えてね。この列車にあんた等の仲間は全部で何人乗ってるの?」
「何でテメェなんかに……」
「頭に風穴開けられたい?」

 少女は取り上げた銃を男の眉間に当てて微笑んだ。無邪気な笑みだったのだが、何故かその後ろに黒いものが見える気がした。

「き、機関室に二人……一等車には、四人……。ほかの乗客は数ヶ所に集めて四人で……」

 男が怯えながら答えた。多少声が引きつっている。
 その回答に、少女は首を傾げた。

「何で一等車だけ四人も集めてるの」
「ハクロっつー将軍が乗ってんだよ」

 男は素直にそう答える。
 少女の整った顔が、これまでに無いくらい嫌そうに歪んだ。

「はぁ? ハクロ将軍? ……ったく……何でこんなところに居るんだ、あの人は……」
「おい……お前は一体何者だ……?」
「さぁ、何者でしょーう? はい、じゃあもう一回寝てようねー」

 オヤスミ、と言いながら銃を慣れた手つきでくるりと回すと、バレルを持ってそのまま男の側頭部をグリップ部分で殴って気絶させた。容赦無いその一撃に、近くの乗客が思わず顔を引きつらせた。
 二人の男を自分がいたボックスシートへと転がしておく。後ろ手できつく縛られていれば、目が覚めても簡単に動くことは出来ないだろう。

「さて、と。ここは最後尾だったっけ?」

 誰に問うでもなく言うと、少女は立ち上がって肩をグルグルと回した。露骨に面倒そうな顔をしている。
 長い髪を邪魔にならないように一本に括ると、コキッと首を鳴らした。

「ユルユル行ってきますかー」

 そう言って、少女は前の車両へと駆け出した。


 二両程進んだ頃、ドアを開けた途端大きな鎧が視界に入って思わずたたらを踏んだ。
 何故こんなところに鎧を着込んだ人物がいるのか。トレインジャック犯だろうかとも思ったが、ただ立って足下を見下ろしているだけのその鎧の人物から敵意は感じられない。不審げに眉を寄せながら、近づいてみることにした。
 鎧の前には、黒い服を来た金髪の背の低い少年が居た。鎧の人物よりも、どちらかといえばこの少年の方が殺気立っている。そんな二人の前には、見事にボコボコに伸された挙句縛り上げられている過激派の男達の姿があり、思わず感嘆の声を漏らした。

「これまた随分とボコボコに……一体そのちっちゃい体のどこにそんな力が……」

 思わず少女が呟くと、少年と鎧がピクリと反応し、空気が凍った。

「誰がどチビだゴルァァアアアアッ!!!」

 少年は額に青筋を浮かべながら叫び、同時に右足を軸に左足を蹴り上げる。

「おっと」

 少女は勢いのついたその鋭い蹴りを避けもせずに、左手でそれを余裕顔で受け止める。だが、予想よりも重くて固い衝撃が掌から腕の骨を伝い、思わず顔を顰めた。

「なっ!?」

 止められた少年は驚きの声をあげた。
 反射的に回し蹴りしてみたものの、改めて見れば相手は女ではないか。しかも僅か腕一本でそれを止められたとなれば、瞠目せずにはいられない。

「いったぁ……! 何これ、機械鎧?」

 少女は少年の足を放すなり、左手を冷やすように振る。止めたはいいものの、機械鎧だなんて予想外だ。
 機械鎧(オートメイル)というのはその名からわかる通り、鋼で出来た義肢の事である。神経と繋がっている為、生身と同じように動かす事が出来る。そんなものを素手で止めたとなれば痛いに決まっている。機械鎧だとわかっていれば避けるなり別の方法をとったのに、と少女は左手をさすりながら思う。初対面でそんな事わかるはずもないのだが。

「兄さんの回し蹴りを止めた……」

 鎧の人物もまた、驚きの声をあげた。その声がまだ少年のもので、少女は思わず二メートルはある鎧を見上げた。

「お前、何者だよ」

 低く問うてくる声が聞こえて目を戻せば、少年が睨みつけてきていた。
 恐らく彼にとっては禁句だったのであろう身長の事。そして回し蹴りが止められた事。少年の中で少女の第一印象は決して良いものでは無くなってしまったようだ。
 そんな事は全く気にせず、少女は睨んでくる少年にへらりと笑みを向けた。

「ただの乗客。名前は。よろしくね」

 少女――は微笑みながらそう言った。

「ただの乗客にしちゃ、動きがいいんじゃねぇの?」
「じゃあ、トレインジャック犯をボッコボコに伸したキミはただの乗客じゃないわけ?」

 が肩を竦めて言えば、不審そうに見据えていた少年もぐっと言葉を詰まらせた。
 と同じように「チビ」と言ってきた男達に、現在の状況もわからないまま反射的に殴りかかったのはつい先程。
 にやりと笑みを向けてくるに、少年は言い返す言葉が思い浮かばなかった。そんな二人を見て、鎧がため息をつく。

「……まあいい。オレはエドワード・エルリック。こっちは弟のアルフォンスだ」
「よろしくお願いします」

 少年――エドワードは隣の鎧の人物を親指で指しながら自己紹介した。アルフォンスと呼ばれた鎧の人物は、律儀に頭を下げながら挨拶をする。
 その二人の名に、は片眉を上げた。

「エドワード・エルリック……?」
「あ?」
「いや……なんでもない。よろしくね」

 はすぐに元の笑顔に戻し、手をヒラヒラと振った。
 不審げにしばしを見据えるが、話す気は無いのだろうとエドワードはすぐに見切りをつけた。

「で、兄さん。これからどうするの?」
「ん? ああ、ほっとくわけにもいかねぇし……。しょうがない。オレは上からでアルは下からでどうだ?」
「はいはい」
「お前は?」
「は? 私?」

 まさか自分に話を振ってくるとは思わず、は目を丸くした。
 後方車両からわざわざ来たという事は、この状況をどうにかしようと思って来たとのだろうし、先程の動きから見ても素人とは思えない、という事でエドワードは尋ねたのだ。

「来て欲しいんなら、一緒に行ってあげてもいいけど」
「……言い方がムカツクから来なくていい」
「ああ、そう」

 さらりと言うに、エドワードは眉を寄せて断った。
 嫌味な奴だなどとぐちぐち言いながら、エドワードは近くの窓を開けて片足を窓枠に掛けた。

「き……きみ達は一体何者なんだい?」

 乗客の一人がエドワード達に尋ねる。
 エドワードは振り返り、笑みを浮かべた。

「錬金術師だ!」

 得意げにそう答えた錬金術師は、窓から出た直後に風圧で飛ばされそうになっているところを弟に助けられており、乗客達は本当に大丈夫なのかと一抹の不安を感じた。

「さて。じゃあ、ボクも行きますね」

 エドワードを窓の外に送り出し、アルフォンスはに向き直った。

「私も行くよ」
「え。さんも?」

 アルフォンスが聞き返した。表情はわからないが、きっと驚いているのだろう。

「ああ、でいいよ。敬語もいらない。で、ついてっちゃダメなの?」
「え、いや……悪くはないです、けど……」
「じゃあ、一緒に行かせて。大丈夫、邪魔しないから!」

 言いよどむアルフォンスに、はグッと親指を立てて見せた。
 この人なら本当に邪魔せずにそこに居るだけなんだろうなあ、と出会ったばかりだというのにアルフォンスはに対してそう思う。先程のエドワードとのやりとりで、なんとなくこの少女がどういう人物なのか感じ取ってしまった。
 アルフォンスはハァとため息を一つつくと歩き出した。断らないという事は、ついて来てもいいという事らしい。はどこか楽しそうに口元を緩めながら、アルフォンスの後について歩いていった。


 先頭車両に向かってアルフォンスとは歩いていくが、本当には何もしなかった。というより、何もする必要が無かった。
 銃を向けてくる過激派の男達は、アルフォンスの姿を見るなり驚いて銃を向けて発砲するが、弾が鎧によって跳ね返って自滅していくばかりだ。それを車両を通過する度に同じことが起こるものだから、思わず「おじさんたちアホですか」と呆れて言うアルフォンスの後ろでが同意するように頷いた。


 難なくやってきた先頭車両の一両前で二人は足を止める。
 この先は一等車両。中には、ハクロ将軍一家と過激派の一味が乗っているはずだ。

『人質の皆さんは物陰に伏せてくださいねー!』

 車両の中から微かにエドワードの声が聞こえたかと思うと、激しい水音が聞こえた。とばっちりを受けないようにはそこからすぐに離れる。
 が離れたのを確認してからアルフォンスがドアを開けると、大量の水と共に数名の団員が押し流されてきた。

「いらっしゃい」

 握った手の甲を見せ付けるようにゴンと合わせるアルフォンスの姿は、足下でずぶ濡れになっている男達と比べて、どちらが悪人だかわからないオーラを纏っている。そんな鎧を見た団員の顔からは、血の気が引いていた。
 団員達を片付けると、アルフォンスも車両の中に入っていき、首謀者であろう片腕に機械鎧を持った男をエドワードと二人で倒した。
 見るとエドワードの右手から刃物が生えていて、右腕も機械鎧だったという事に気が付く。


右腕と左足が機械鎧。鎧の弟。
エドワード・エルリック。

“鋼の錬金術師”


離れて傍観していたは、エドワードの姿を見ながら楽しそうに笑みを浮かべた。