夕日が綺麗だったから。
だから、私は死んだのだ。

毎日上司に怒られているからじゃない。
毎日残業で朝帰りしているからじゃない。
やりたくもない仕事を延々と続けているからじゃない。
彼氏に別れを告げられたからじゃない。

ろくに睡眠もとれなくて、
食事も喉を通らなくて、
眩暈が酷くて、
吐き気がして、
何もなくても涙が出るけど、
それが理由なんかじゃない。

少し休憩をしようと思って、
缶コーヒーを一本買って、
屋上に出た。

そうしたら、ビルの隙間から見える夕日がとても綺麗だったのだ。
雲の隙間から差し込む光がとても美しかったのだ。

飲み干した缶を屋上の床に置いて、
屋上の柵を上って、
迷わずに手を離したのはついさっき。

今が朝だったなら、朝日の中に飛び込んだだろうか。
否。
今が夜だったなら、夜景の中に飛び込んだだろうか。
否。
答えは、否だ。

だって、夕日が綺麗だったから、
私はただ飛び込みたかっただけなのだから。

私は夕日の中に飛び込んだけれど、
夕日は私を受け止めてはくれなかった。

夕日の中に飛び込んだ私は、
ただ屋上から飛び降りただけの人間となって、
地面に叩きつけられて死んだだけだった。

勘違いしないでほしい。
私は別に死にたかったわけじゃない。
死にたいと思ったことなんて一度も無い。

夕日が綺麗だったから。
だから、私は死んだのだ。



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